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第26話 そんな事、あるわけない
なんだよそれ?
俺に全く似つかわしくない言葉じゃないか…
『か弱くて素直で繊細で人の気持ちがよくわかる』?
俺が?
まさかそんな事を言われる事があるなんて、夢にも思わなかった。
俺が天使なら…
もし天界があったとしても、その天界にも下界にも天使なんて存在自体してないんじゃないか?
魔界に天使の格好をした悪魔 がいるぐらいしかいないよ。
「早見さん。そんなこと言ったら、天使自体いなくなります。そんな事したら、色々困る人達がでてくるので、迂闊《うかつ》に言わない方がいいですよ」
智樹は呆れた顔で早見を見た。
「もし天使がいなくなっても、天使 1人助かればいい」
「…」
「いつも智樹君は頑張りすぎだ。今日はゆっくり家で休むといいよ」
それだけ言うと、その後早見は何も言わず、智樹を家まで送って行った。
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