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第27話 ただいま
ストーカー事件があってから、早見は念のため智樹の家の周りに異変がないか調べ、何もない事を確認する。
「今日もありがとうございました」
「何かあったらすぐに連絡して」
早見がいつものように伝えると、智樹が家の中に入り鍵をかけるまで、車の中から見守っていた。
はぁ〜〜、着いた……。
智樹は自分の部屋まで行く気力もなく、家に入るとダイニングの大きなソファーに直行し倒れ込んだ。
雅樹に逢いたい。
逢って『頑張ったな』って、抱きしめてもらいたい。
でもそんな事はできない。
雅樹にあんな事、絶対に言えない…。
部活でまだ学校から帰ってきていない雅樹の事を考えながら、智樹は目を瞑ろうとした時、バタバタバタとすごい勢いで階段を降りてくる足音がした。
え⁉︎
誰⁉︎
智樹の体に緊張が走る。
早見さんに連絡しないと‼︎
上着のポケットから智樹がスマホを取り出すと、
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