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第52話 朝帰り ③
「もうすぐ学校の時間だから、早く風呂入ってこいよ…。それとも、もう入ってきた?」
雅樹はより智樹を横目で睨んだ。
「はぁ?入ってきてないし。俺、今日、学校休むから、雅樹、一人で行って」
智樹は雅樹が座っていないベッドの隙間に体を滑り込ませ、雅樹に背を向ける。
「寝るから出て行って」
智樹がぶっきらぼうに言うと、
「なんで眠いんだよ。一晩中、起きてたのか?」
雅樹は智樹の顔を覗き込もうとするが、智樹は顔を枕に埋めた。
「智樹、こっち見ろよ‼︎」
雅樹がぐっと智樹の肩を引っ張り、智樹の体ごと雅樹の方に向けさせる。
「‼︎」
智樹の表情に、雅樹は息をのんだ。
智樹は雅樹をすごい形相で睨みつけながら、涙を流していた。
「なんで俺は雅樹にこんなに責められて、なんで答えないと怒鳴られないとダメなんだよ‼︎俺が悪いのか⁉︎昨日、少しフェロモン出てたのに出かけてたからか?幸樹兄さんと同じ匂いしてたからか?キスマークつけられた《《だけ》》で、俺があんなに怒ったからか?雅樹が謝ってたのに無視したからか?それとも雅樹の許可なく夜、家を抜け出して、朝帰りしたからか?俺が謝って雅樹の気持ちが落ち着くなら謝るよ。ごめん。でも、これ以上何も言うな‼︎俺は全部悪いとは思ってない‼︎」
一気にそこまで言うと、智樹はスマホを雅樹から奪い取り部屋からね飛び出した。
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