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第66話 さよなら ②
「薫、花束持って来たよ」
晶は薫の墓前に花束を備え、しゃがみ、手を合わせ、薫に話しかけ始めた。
「お墓には不向きかと思うけどさ、薫、かすみ草好きだっただろ?だから花屋のお姉さんに、かすみ草メインの花束作ってもらったんだ」
なおも晶は話し続ける。
「しかも今日は線香も。ずっとしたかったから、俺嬉しくて…」
晶の目から涙が流れが、それを拭おうともしない。
「薫は知ってると思うけど、俺、薫と神谷先輩に嘘ついて…。最低だよな…。薫は俺の顔も見たくないと思う。でも安心して。もうここには来ない」
そして一呼吸してから
「記憶を取り戻した神谷先輩が来てくれるよ。だから寂しくないよ…」
そう言って、晶は苦笑してしまった。
俺が来なくなって、薫は寂しい思いなんてしないはずなのに、
俺なんて会いに来て欲しくないのに…
「今から爺ちゃんの家に行ってさ、学校もそこの高校に転校しようと思う」
最後に、
これだけは…
これだけ言わせてほしい。
「薫。俺、薫がずっとそばにいてくれて、親友でいてくれて、本当に幸せでした…。薫、安らかに眠って…」
ここでやっと晶は涙を拭いた。
寂しいとかの涙ではなく、
『今まで、ありがとう』
の、感謝の涙。
薫にお別れできた。
心残りはもうない。
爺ちゃんの家に行こう……
すくっと立ち上がり、歩き出そうとした時、
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