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第19話 真司の気持ち
「真司、今日、林さんが言ってた事なんだけど…」
蓮は真司が料理を食べ終わり、食器を片付けて始めたのを見計らって、話を切り出した。
「…」
ぴたっと真司の動きが止まる。
「あれは…」
「いいよ、気にしてないから」
蓮の声を真司が遮るように言った。
「でも…俺、真司に酷いことした…」
蓮が俯く。
「どうして?蓮は何も悪いことしてないし、俺はされてないよ」
「…」
俯いたままの蓮は、強く拳を握りしめている。
「蓮…俺は蓮が好きだ。だから、周りになんて言われようと一緒にいたいし、昔、何があったなんて気にしない」
真司は蓮を抱きしめる。
気にならないと言ったら嘘になる。
でもそれ以上に蓮が大切で愛しい。
真司が出した、本心だった。
真司に抱きしめられたまま、蓮が真司を見上げた。
「真司に隠し事はしないと言っておきながら、あんな事をして…もう真司と一緒に居れないかと思ってた…許してもらえるとは思ってないけど、俺も真司と一緒にいたい」
蓮の頬に涙がつたうのを、真司が指で拭った。
蓮の目には涙が浮かんでいたが、表情は嬉しそうに笑っていた。
真司は断ったのだが、蓮がどうしてもというので二人で食器を洗った。
「本当は蓮が来てくれた時ように、あの店のコーヒー豆用意しておくつもりだったんだけどできてなくて…インスタントでごめん」
少し申し訳なさそうに真司が入れたのインスタントコーヒーを蓮に手渡した。
「ありがとう。いただくよ」
嬉しそうに蓮はコーヒーを受け取り飲んだ。
「コーヒー飲んだら、風呂入ってくる?パジャマは…俺のだから蓮には小さいかもだけど…今度、蓮のお泊りセット買いに行こう」
嬉しさで蓮の目がキラキラ輝く。
「明日、二人とも休みだから、真司のお泊まりセットも一緒に買おう。初デートだな」
「!」
初デート‼︎
真司はその響きと蓮との初デートに心躍らせていた。
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