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第28話 カフェ

ほぼ買い物が終わったので、カフェで休憩をする事にした。 「結構買ったなー」 蓮は買い物袋の数を数えながら見る。 「買い物ってこんなに楽しかったっけ?」 蓮につられて真司も紙袋を見た。 真司は全部で4つ。 蓮は…沢山。 蓮はお泊まりセット以外も色々買っていたからだ。 「蓮って買い物好き?」 「皆んなには知られてないけど、実はな」 みんなは知らない…か… 真司は蓮の秘密を自分だけに教えてくれたようでで、嬉しかった。 みんなの前での蓮は、仕事はできて、優しくて、冷静で、おしゃれで… でも、真司の前では、泣いたり、笑ったり、照れたり…沢山の顔を見せてくれる。 それが本当に嬉しくて、愛おしかった。 「でも、お泊りセットを買った日に使えないのは残念だな…」 残念そうにする蓮を見て、真司の胸はまたキュンとする。 この胸がくすぐったくなるような感じ、いつ以来だろう。 日々をただ過ごしていくだけだった真司にとっては、蓮との生活全てが新鮮で生きている感じがしていた。 「今度泊まりに行く時は、何着か着替え持っていってもいい?そうしたら、急に泊まることになっても大丈夫だから」 真司も本当は泊まりたかった。 だが明日出勤なのに、何もないのはさすがにまずい… 真司は泊まりたい気持ちをぐっと堪えた。 「本当に⁉︎真司が大丈夫なら、何着でも置いてってくれよ」 満面の笑みで蓮が喜ぶ。 蓮が可愛すぎる… あー、もー、今日泊まろうかな… 真司は病欠を取ろうかと思ってしまうぐらい心が揺らいだ。 「俺も真司の家に着替え、置かせてもらおうかな。そうしたら俺もすぐに泊まれるしな」 蓮がそう言ってくれたおかげで、またすぐに蓮と泊まれると思え、真司は今日泊まりたいという気持ちを抑える事ができた。 「そういえば真司っていつもそんな感じの服、着てるんだ」 「あ、うん、こういう形の服、結構好きで…年齢的には蓮みたいにかっこよく着こなしたいけど、俺には無理だわ…」 「俺は真司の私服、物凄くいいと思うよ。髪型だってあってるし…ところで、真司、何才?」 「本当だ‼︎お互い年齢知らなかったな」 今まで気にして無かった事にびっくりした。 「俺は28。蓮は?」 「31」 「‼︎‼︎」 年齢はそんなに離れていないかと思っていたが、まさか3歳違いだとは… 3歳違いで、この仕上がりの差… 仕事もできて、蓮との色気の差… 俺って一体… 「真司、俺より大人対応だから、もう少し上かと思ってたけど、俺より下だったんだな。意外」 「意外なのは蓮の方だよ…俺にもその仕事できる力と色気が欲しい…」 蓮と釣り合うものが欲しい… …これは、頑張るしかない‼︎ 具体的に何を頑張るかわからないけど… 「俺はそのままの真司がいい。それにもっと色気がついたら…困る…」 「?どうして?」 「…他の人がよってくるかもしれないし…俺の抑えが効かなくなる…」 「……‼︎」 真司は考えもしないような蓮の返答に、一瞬、何を言っているのかわからなかったが、意味を理解すると顔が真っ赤になった。 他人がよってくるかもしれない⁉︎ それより何より、あれ以上、抑えが効かなくなるって、どういう事だ⁉︎ 「だから真司…もう色気つかないで」 「‼︎‼︎」 潤んだ瞳でお願いされた真司は、欲求を抑える事が大変だった。

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