62 / 118
第62話 合鍵
結局その日は、買い物に出たそうだった蓮のため、真司は蓮と買い物に出掛けた。
真司も蓮と一緒に出かけるのは楽しいが、自分と蓮の差がありすぎて、周りからはどんな感じで見られているか、まだ気にしていた。
買い物のはじめに、『余計なものは買わない』と二人で決めていたが、買い物が終わってみると結局、蓮が欲しがったもの全部買っていた。
「真司の荷物置けるように、クローゼット開けておいたから」
「ありがとう」
真司は綺麗に空になっているクローゼットの中に自分の荷物を入れていく。
「それから…はい、鍵。もう真司の家の鍵になったな」
蓮はしみじみ鍵を見つめてから真司に手渡した。
「本当だな。俺、初めて蓮に合鍵もらった時、これが二人共通の鍵になったらな…って思ってたんだ」
手渡された鍵を真司も見つめた。
「真司、そんなこと思ってたんだ」
嬉しそうに蓮が笑う。
「蓮は思ってた?」
「ずっと思ってた。真司が初めて俺の家に来てくれた時から…」
「そんな時から⁉︎もし俺が変な奴だったらどうするつもりだったんだよ」
真司が笑う。
「真司はそんな奴じゃないって知ってたから大丈夫」
「え?」
「多分俺は、真司が俺に気がつくより前から、真司のこと知ってるからな」
「⁉︎どう言う事?」
「秘密。また教えてやるよ」
そう言い残して、蓮はキッチンの片付けに向かった。
ともだちにシェアしよう!