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第62話 合鍵 

結局その日は、買い物に出たそうだった蓮のため、真司は蓮と買い物に出掛けた。 真司も蓮と一緒に出かけるのは楽しいが、自分と蓮の差がありすぎて、周りからはどんな感じで見られているか、まだ気にしていた。 買い物のはじめに、『余計なものは買わない』と二人で決めていたが、買い物が終わってみると結局、蓮が欲しがったもの全部買っていた。 「真司の荷物置けるように、クローゼット開けておいたから」 「ありがとう」 真司は綺麗に空になっているクローゼットの中に自分の荷物を入れていく。 「それから…はい、鍵。もう真司の家の鍵になったな」 蓮はしみじみ鍵を見つめてから真司に手渡した。 「本当だな。俺、初めて蓮に合鍵もらった時、これが二人共通の鍵になったらな…って思ってたんだ」 手渡された鍵を真司も見つめた。 「真司、そんなこと思ってたんだ」 嬉しそうに蓮が笑う。 「蓮は思ってた?」 「ずっと思ってた。真司が初めて俺の家に来てくれた時から…」 「そんな時から⁉︎もし俺が変な奴だったらどうするつもりだったんだよ」 真司が笑う。 「真司はそんな奴じゃないって知ってたから大丈夫」 「え?」 「多分俺は、真司が俺に気がつくより前から、真司のこと知ってるからな」 「⁉︎どう言う事?」 「秘密。また教えてやるよ」 そう言い残して、蓮はキッチンの片付けに向かった。

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