66 / 118

第66話 蓮の過去 ③

「椿…本当はもうわかってるんじゃないか?」 蓮は悲しそうな顔をして、椿と同じ目の高さにし、語りかける。 「わからない‼︎」 涙目になりながら、椿が叫ぶ。 「今まで彼女と仲良くしてたじゃない‼︎お兄ちゃん、付き合う人は女性だよ‼︎じゃないと…じゃないと…」 叫んだかと思うと椿は泣き崩れ、 そんな椿を蓮が優しく抱きしめた。 「椿…わかってもらえるとは思ってないよ。でも、俺はゲイだし、佐々木さんを愛してる。これは事実だよ」 「でも…それじゃあ…」 「俺が実家に帰れなくなったって、椿とはこうして会えるだろう?」 ‼︎ 実家に帰れなくなる⁉︎ 「もう、嘘をついて生きるのは嫌なんだ…悪いお兄ちゃんでごめんな…」 蓮は椿の頭を撫でながら、まるで小さい子供に語りかけるように話した。 昔、蓮には彼女がいた? 俺と一緒にいたら、実家に帰れなくなる? 真司は今知らされた過去の蓮の話に、衝撃とショックで打ちひしがれる。 泣きじゃくる椿を抱きしめながら、蓮は真司を見上げ、 「真司、話を聞いて欲しい…」 「…ちょっと…出てくる…」 「真司!待ってくれ‼︎」 蓮の静止も聞かず、何も考えられなくなっていた真司はふらふらと部屋をでた。

ともだちにシェアしよう!