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第66話 蓮の過去 ③
「椿…本当はもうわかってるんじゃないか?」
蓮は悲しそうな顔をして、椿と同じ目の高さにし、語りかける。
「わからない‼︎」
涙目になりながら、椿が叫ぶ。
「今まで彼女と仲良くしてたじゃない‼︎お兄ちゃん、付き合う人は女性だよ‼︎じゃないと…じゃないと…」
叫んだかと思うと椿は泣き崩れ、
そんな椿を蓮が優しく抱きしめた。
「椿…わかってもらえるとは思ってないよ。でも、俺はゲイだし、佐々木さんを愛してる。これは事実だよ」
「でも…それじゃあ…」
「俺が実家に帰れなくなったって、椿とはこうして会えるだろう?」
‼︎
実家に帰れなくなる⁉︎
「もう、嘘をついて生きるのは嫌なんだ…悪いお兄ちゃんでごめんな…」
蓮は椿の頭を撫でながら、まるで小さい子供に語りかけるように話した。
昔、蓮には彼女がいた?
俺と一緒にいたら、実家に帰れなくなる?
真司は今知らされた過去の蓮の話に、衝撃とショックで打ちひしがれる。
泣きじゃくる椿を抱きしめながら、蓮は真司を見上げ、
「真司、話を聞いて欲しい…」
「…ちょっと…出てくる…」
「真司!待ってくれ‼︎」
蓮の静止も聞かず、何も考えられなくなっていた真司はふらふらと部屋をでた。
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