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第69話 蓮の過去 ⑥

「それで、もう喧嘩したのかよ…」 真司が急に泊まらせてくれと連絡したにもかかわらず、野宮は嫌な顔せず真司を家に泊めてくれた。 「ちょっと…な…」 まさか、あの状況を野宮に言えるわけでもなく、真司は言葉を濁した。 「まー、仲良くが一番だけど、喧嘩なんてよくあることだしな。飛び出したのが彼女じゃなくてよかったじゃないか。女の子が泊まるところがないってなったら、危なくて仕方ない」 「ありがとう」 特に理由をきくわけでもなく、そっとしておいてくれた野宮に真司は感謝する。 「でも、野宮どこかにいくつもりだったんじゃないか?電話した時、外にいた感じがしたんだけど」 「仕事の後飲みにいこうと思ってたんだぞ!呑み損ねたから、佐々木、お前付き合えよ」 野宮は真司の前にビールとコンビニで買ったであろう、おつまみを置いた。 その日は遅くまで二人で飲んだ。 野宮はザルで真司がべろべろになっていても、顔色一つ変えず飲んでいた。 次の日真司は休みだったが、野宮は仕事だった。 「居たかったらいつまでもいていいけどな」 そう言いながら、野宮は真司に鍵を渡す。 「彼女と仲直りできたら、すぐに帰るんだぞ。鍵は仕事の時に返してくれたらいいから」 「ありがとう。この穴埋めは必ずする」 「期待してる」 笑顔で野宮が出勤していった。 合鍵。 蓮に初めて合鍵を貰った時のことを思い出すと、無性に蓮に会いたくなる。 蓮、椿ちゃんと話、ちゃんとできたかな… 真司は蓮からの連絡を待った。

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