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第94話 すれ違う2人 ①
蓮、今日も帰りが遅いな…
真司の母親と蓮が二人のマンションで会う日は、真司の母親が姉の家に泊まることになっていた姪の誕生会の次の日となった。
あの話以降、より蓮の仕事が忙しくなり帰宅時間が遅い日が続くようになっていた。
朝は朝で真司が起きる前には、もうすでに起きていて書斎にこもっていた。
真司はそんな蓮のため、蓮が家ではゆっくり出来るようにと、掃除、洗濯、そしてそれほど得意でない料理もレシピと睨めっこしながら作り、蓮の帰りを待っていた。
真司が夕食を作りながら蓮を待っていると、蓮から電話がはいった。
「もしもし蓮。どうした?」
「あ、真司。今日なんだけど、帰りが遅くなりそうなんだ。だから、先に寝ててくれないか?」
昨日も一昨日も、そんな事言ってて…
「帰りが遅くなるのはわかったけど、こんなに連日で体は大丈夫か?」
「今はちょっと…このままは帰れそうになくて…ごめん…」
電話の向こうから聞こえる蓮の声は暗い。
「そんな、謝らなくていいよ。俺は蓮が無理さえしてなければ、それでいい。だから、俺のことは気にしなくていいよ…」
「…」
「仕事大変なんだな…無理すんなよ」
「…うん…ありがとう…おやすみ」
「おやすみ」
真司からの、おやすみを聞くと蓮は電話を切った。
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