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第96話 すれ違う2人 ③
少し寂しい思いをしながら、真司はキッチンへと向かった。
キッチンのテーブルにはきちんと真司の朝食が用意されていて、そのそばにメモが置いてあった。
『今日も仕事で遅くなりそうなので、会社近くにあるビジネスホテルに泊まります。蓮』
どう言うことだ?
仕事で遅くなるのは仕方ないし、蓮の体が心配なだけで他はなんとも思っていない。
家まで帰るのが体的にしんどいのであれば、言って欲しかった。
それに、どうしてそんな大事な事を直接俺に言うんじゃなくて、メモなんかで…
とっさに真司は蓮に理由を聞こうと携帯を手にしたが、携帯を持ったその手を下ろした。
今は仕事中だ。
蓮の仕事が落ち着いた頃に電話しよう…
でも、それはいつ…?
モヤモヤした気持ちのまま、真司はしばらくソファーに座って天井を見つめた。
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