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カズキ13cm(31才)

オレが満足を覚える尺りに必要なのは不必要に立派な竿でもたっぷり時間をかけて楽しめる竿でもない。 オレの尺りに応え、精一杯の抵抗を示しながらも堪えきれず放出する切なさを竿全体で表現し、オレのクチに快感と開放の虚無をダイレクトに伝えてくる竿とのセッションだ。 いまだにオレをノータッチで絶頂に導く尺八には巡り会えていないが、この稼業をしているからには時にオレの股ぐらを疼かせる尺りに遭遇する。 いつものように依頼のメール。 31才。独身。 見た目は勝ち組サラリーマンといったところ。 すでに八重洲のホテルに予約を入れてあるという。 セッション前日の依頼にも関わらず周到なことだ。 いま炊いている鍋の中身は明日にはちょうどよく煮込まれてトロトロになっているだろう。 火元を確認し元栓を締めて床に着く。 八重洲という土地柄からしてみれば比較的シャレたホテルの高層階。 指定された部屋のドアをノック。 オレを迎え入れたのはいかにも精気が漲るといった風体のサラリーマンだった。 エクササイズを欠かさないのであろう厚いむな板がスーツの上からでも分かる。 短く刈り込んだ髪とすべすべの肌。 切れ長の目がもう少し柔和なフォルムならアイドルでも通用するかもしれない。 部屋に入る。 背後でドアが閉まる音がしたと思ったらいきなり抱きすくめられる。 「そういうのは取引に含まれていないんだがね」 慌ててオレを解放する男。 「す、すみません…あまりにもタイプだったもので…」 オレに尺八を依頼する客は大きく分けてノンケかそれ以外かに分けられる。 今日の客はそっち側に立っているということか。 「すまないが規約なんでな、シャワー、浴びてくれ」 そそくさと服を脱ぎ、男がバスルームに消える。 全身を程良く鍛えているのだろう。 引き締まった体付きをしている。 タバコをふかして男を待つ。 腰にバスタオルを巻いて男が出てきた。 股ぐらはすでに膨らんでいる。 「はじめよう、どんなのがお望みだ?」 あの…その…と要領を得ない。 股間の膨らみが切なそうにヒクヒクしている。 男のバスタオルを剥ぎ取り、跪く。 八分勃ち。 男の腰に両手をあてがい、竿を真正面から吟味する。 天井を指す竿の先端に先汁の玉が照明の灯りを照り返している。 舌先で先汁を拭うように小刻みなチロチロ。 「くっふぅぅ」 男の腰が引ける。 両手で腰骨をしっかりつかまえ逃さない。 「そのまま、両手を頭の後ろで組むんだ」 おとなしく従う男。 両ワキを全開に晒し仁王立ち。 足元に落ちたバスタオルはそのまま。 チロチロチロチロとしばらく先端だけをくすぐる。 先汁が止まらない。 微かな塩気。 膝が笑い始めているが手を緩めない。 引けていた腰を突き出し始めたところで竿の先端が臍に向かうように腹に押し付ける。 左手の親指で亀頭をしっかり押さえながら、根元から舐めあげる。 舌の真ん中、広くなった部分をたっぷり竿に添わせてベロンベロンと舐めあげる。 舐めあげる度に圧迫された尿道から先汁が先端に溢れる。 竿を手前に引き倒す。 手を跳ね返す力強いバネ。 竿の側面を閉じた唇で左右に往復。 まるで横笛吹き。 完全に血を巡らせた竿はとうに本勃ち。 目測13cm。 「おっおぉっ」 脱力し男の両手がダラリと下がる。 「誰も手を下げていいと言ってないが?」 弾かれたように手を頭の後ろで組み直した男は、両足に力を込めて更に踏ん張る。 竿をバーティカルに横たえたまますぼめた唇を鈴口にあてがう。 たっぷりとした間をとって一気に根本まで銜えおろす。 ズドンと音が聴こえそうな飲み込み。 「ほぁあぁ」 竿の根元近くまで飲み込んだままスプスプと小刻みなストローク。 クチのなかで竿が跳ねる。 ねっとりと跡を引くように亀頭までテイクバック。 先程とは一転して竿ごと中身が引きずり出されそうな感覚に男の腰がヒクつく。 同じように粘っこい速度でまた根元まで飲み込む。 竿をなぞる唇のもどかしい感触に男の溜息が止まらない。 オレの腰の奥もドロドロが渦巻いてきた。 少しキツめにクチをすぼめてリズミカルにストローク。 ちゅっぷちゅっぷとオレの唾液と男の先汁がハーモニーを奏でる。 ちゅっぷちゅっぷちゅっぷちゅっぷ。 淡々とリズミカルにオレのクチは男の竿をコいていく。 クチでシゴく度に硬さを増し、張り詰めていく竿。 堪りかねたように男がねだる。 「あの…乳首…」 ん?地首がどうした?と咥えたまま聞き返す。 男には 「ん?ひふひはほうひは?」 と聞こえただろう。 「自分の!地首!イジらせてください!」 まさに懇願。 「はっへひひほ」 勝手にしろ、と伝わったかどうか。 頭の後ろで組まれていた男の両手が胸元をまさぐる。 ピンと突き出した人差し指が男の乳首をコロコロと転がしはじめる。 その動きはオレのストロークを煽るように速さを増していく。 いい度胸だ。 男の指に合わせてストロークのピッチを上げる。 ちゅっぷちゅっぷがちゅっちゅっちゅっちゅっと刻みだす。 「お゛お゛お゛」 ケモノのような喘ぎ声。 爽やかな容姿からは想像もつかない。 リズムはそのままに、根元から亀頭を目一杯に往復するフルストロークに。 オレの頭部の往復が激しさを増すのと同調して男の指先も残像が見えるほどに速く激しく乳首を弾く。 来る。 そう思ったや否やの瞬間、男の竿が弾ける。 頭蓋を揺さぶる大きな跳ね。 上顎を撃ち抜くような迸る精のアタック。 ドッと一発。 そのあとを詰めてびっびっと残り精を弾きだす。 根本からこそぎ出すように竿を解放すると、男はそのまま尻餅をついた。 オレの息も荒い。 久しぶりにオレの竿にもたっぷりと血が漲ったようだ。 へたりこみようやくオレと視線の高さを合わせた男。 「いつもこんなのじゃ、とても保たない…」 だろうね、といなして膝を払う。 ホテルを後にして、駅まで向かう。 ついでとはいえ、丸の内には行く用事もない。 有楽町の小洒落たバルでも冷やかすか。 少しだけオレを熱くさせ、全身にうっすらかいた汗もとうに引いている。 帰宅するにはまだ早い。

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