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第36話

そしてその後琉は交換留学みたいな感じで何度か学園の様子を見にきて実際の授業を受けたりもした。そうしているうちに少しずつだけど琉の表情が和らいでいった。 でもなかなか決意ができないみたいで、気付けば春になっていた。 「理苑」 「ん?」 「昨日ね、さざなみから連絡きたよ。琉くん決意してくれたみたいだ」 その知らせは突然だった 「そうなんだね。よかったね」 「理苑?どうした?」 「え?何が?」 「何か悩んでんの?」 「…いや別に」 「ずっと気になってたんだけどさ。お前琉くんのこと好きだろ?恋愛的な意味で」 賢也さんにそんな風に聞かれたことはこれまでなかった。 「な…」 「…気付いてたよ。一応お前の親なんだし」 「…いつから?」 「お前をさざなみに迎えに行った日。お前が琉くんを見る目がそう言ってた。すっげぇ悩んだんだろうなって思ってた」 「なんで…」 「俺にも覚えのあることだったからだよ」

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