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第60話
その晩俺は不思議な夢を見た。
夢の中の俺は蹲り涙してた
俺からバスケを獲るならば俺には何も残らない…
俺がこれまで頑張ってきたことは全て失くなってしまうのだ…
何のためにリハビリしてるんだろう?意味があるのかな?
俺が頑張ることで…注目されることで琉やさざなみのみんなや賢也さんが喜んでくれた…笑ってくれた
琉が…みんなが笑ってくれるだけで嬉しかった…それに偽りはない…その笑顔を失わせないそのために俺はずっと琉やみんなのヒーローであり続けなければならない…
けど…俺は?俺自身のことは?
…俺の生き甲斐は失われた…
明るい未来も全て閉じられてしまった…
もう…
「なんのために…これまで頑張ってきた…なんで俺が…こんなことに……俺の生きている意味がなにもない…」
俺からバスケをとったら何もないのに…
みんなのためにも生きなくてはならない…わかってる。けれど俺自身のために生きる意味はなくなってしまった…
神様という存在があるのならあまりにも酷いじゃないか
小さい頃親に捨てられて施設で育って…やっと見つけた生きる意味さえ奪われて…
俺が何をしたというのか…
一度でいいから…俺にだってご褒美をくれてもいいんじゃないのか?
そんなこと言ったところで何にもならないのはよくわかってる…
縁と絆、そしてソラを助けたことに後悔はない…けれど…俺は…
その時うつむく俺に小さな影が近づいた。
そして俺を呼ぶ
「リオン」
その姿は琉によく似てて…けど琉ではない誰かだ
そいつが俺をまっすぐ見据えて落ち着いた声で語りかけてきた
「理苑…諦めないで…目が覚めたらきっと素敵なことが待ち受けているから…諦めないで…」
「君は…?…」
誰だ?
「…」
何か答えてくれたけど聞き取れなくてそのまま彼は静かに微笑み白い光の中へ吸い込まれていった
吸い込まれた直後彼は小さな姿に変わった…その姿はソラそのものだった…
「ソラ…お前…ソラだったのか…」
そうか…ソラは命を落とした…俺を助けるため側にいてくれたソラ…
だったら…やっぱり俺は…
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