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「んっ・・ぅうん・・」
昂遠の声と雄の硬さを直に感じながら、遠雷の唇が昂遠の頬へと伸びる。
ちゅっちゅっと啄むように昂遠に口づけを落すと、はぁっと甘い息を吹きかけた。
その音に昂遠が腰の動きを先程よりも速めると、その熱で遠雷の唇がパクパクと息を乞う様に動き始める。
「・・・・・・・・・・」
眉間に皺を寄せたまま頬を染める遠雷の瞳が迷う様に左右に揺れ、その迷いを取り払う様に昂遠が啄むような口づけを彼の耳たぶに落とすと、ゆっくりと唇が重なり、互いに吸い合うように舌を絡めては、互いの口から零れた吐息が溶けるように落ちていった。
「・・ん・・・」
「・・・んぁっ・・ぅ・・」
じゅるじゅると互いの口を吸い合いながら、昂遠の手が支えるように遠雷の腰を掴むと、びくりと腰が揺れ、彼のより敏感な部分がぐちゅぐちゅと音を立て始める。
「・・・んっ・・やだぁ・・こっち・・こっちもぉ・・」
「・・ふっ」
自身の雄を掴んだまま動きを止めている昂遠の指に痺れを切らした遠雷の腕が伸び、彼の手に自身の指を重ねながら手淫を促して初めて、昂遠の手がゆるゆると動き始めた。
互いに手を重ねたまま奥深くまで共に堕ちていく様を脳裏に描きながら、昂遠が軽く呼吸を整えると、頭を振って彼に視線を向けた。
自分の眼前には湯に浸かったままの足が見える。
「いや。今日は止めておこう」
「・・奇遇だな・・俺もだ」
「・・・・・」
「・・・・なぁ。昂」
「ん?」
湯を何度も顔にかけている彼を眺めながら、遠雷が問う。
「今、何を考えてた?」
「・・さぁな・・」
「・・・そうか・・」
「湯が温くなったな・・そろそろ上がるか・・」
「いや、どうせならこの湯で衣を全て洗ってしまおう。このまま抜くのはもったいない」
「それもそうだな」
そんな事を話しながら互いに浴槽から上がると、側に置いていた互いの衣を湯の中に落とし始めた。
靴まで手にしていた遠雷を軽く止めながら、昂遠はざぶざぶと軽く衣服を洗うと遠雷がそれを受け取り、黙々と絞って桶に入れるという息の合った動きを繰り返していたが、急に遠雷の手が止まり、その動きに疑問符を浮かべながら昂遠が彼を見た。
遠雷は衣を絞る手を止めたまま俯いている。
「どうした?」
「あとの二人は・・どうする?」
「・・・明日探そう。もしかしたら、生きているかもしれない」
それを証明するものは何もありはしないけれど、可能性があるならと願う彼に遠雷も「そうだな」と呟いたきり、何も話そうとはしなかった。
その後、小屋の中で見つけた衣服を身に纏い、自分たちの服は室内に干すことにした。
「これで良し。明日は無理だろうが、明後日には乾いて着られるようになるだろう」
昂遠の声に遠雷も「そうだな」と呟いたきり何も話そうとしなかった。
その日の夕食は非常に豪勢なものとなった。
小屋の厨房に残されたままの食材をふんだんに使い、昂遠が肉料理を作ったのだ。
数羽あるうちの鶏を一匹丸々使ってもまだまだ余裕があると見た二名は此処に数日間滞在するのも悪くはないと思った。
大きな酒壺には大量の酒が手つかずに残されているのを確認すると、二名はこぞってそれを飲み、やがて机に突っ伏したまま酔いつぶれて眠ってしまった。
深夜、ジジジと部屋のロウソクが揺れる風に混ざる様に、黒い影がふと揺らぐ。
酒の入った小さな壺を手に、のっそりのっそりと歩くのは遠雷だ。
彼はグビグビと酒を飲むと袖で口元を拭いながらフラフラと扉に手をかけていたが、ふと振り返ると落ちていた衣を手に取った。
「・・・・・・・・・・」
昂遠は酔いつぶれて目を覚ましそうにない。
目が覚めてしまった遠雷は、落ちていた瓢箪に酒を注ぐと適当な上衣を彼の肩にかけて夜風に当たろうと外に出ることにしたのである。
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