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甘い唾液 7

珀英が嬉しそうに楽しそうに微笑んで、チョコの唾液を飲んで、オレと自分の口唇を舐める。 何度も何度も舐めるから、本当に犬に顔を舐められてる気分になる。 口の中のチョコがだいぶ小さくなった。 オレは珀英の口唇と舌から逃げて、珀英の上に起き上がって、跨(また)がる形で座った。お互いに呼吸が荒くなっていて、珀英の胸が上下している。 珀英の瞳が、獣(けだもの)の発情期の色をしている。目の前のオレを犯すことしか考えていない、最低な最高な瞳。 オレは深呼吸を繰り返して、上がった息を整えようとしているのに、珀英はオレの腰に指を這(は)わせて、スウェットの上からお尻を揉(も)んでいる。 「はくえぃ・・・!」 明日は午前中から仕事入ってるから、今日はするつもりないのに・・・! なのに、もう心がぐちゃぐちゃに溶かされて、体もつられて熱くなっていて。 珀英に触れて欲しくて、中まで奥まで犯して欲しくなっていて。そんなオレの変化なんか珀英はわかっているくせに、少し意地悪く笑って。 「・・・緋音さん・・・抱きたい。抱いていい?」 と訊いてきた。 オレがどうして欲しいかなんて、わかってるだろうが。 わかってて訊いてんのか?この駄犬が。 スウェットの裾から手を入れて、オレの腰をまさぐっていた珀英の手を掴(つか)んで、引き剥(は)がした。 「訊くぐらいならやめとけば」 軽く舌打ちをして、珀英を見下ろして、冷たく言い放つ。 いちいち訊かなくってもわかってるくせに。 もっと強引にきて欲しい。 つまんない男。 珀英の上から降りようと、床に足をつけた瞬間、珀英の大きな手がオレの腕を掴み、太くて長い腕がオレの腰を抱え込んで強く引き寄せて。 ソファに押し倒された。 「明日仕事早いし・・・心配だから訊いたのに」 珀英が少しむくれた表情で覆いかぶさってくる。大きな目の端に苛立ちが見えた。 ご主人様を心配したのに、不機嫌にさせてしまって、困りつつも拗(す)ねた飼い犬の表情に、思わず笑ってしまった。 最初からこうやって強引にして欲しい。 強引すぎてレイプまがいになるのは嫌だけど、オレがどうして欲しいのかわかるんだから。 もっと、ちゃんと、オレのことだけ考えろ。 オレは珀英の首に腕を回して引き寄せて。甘い口唇にキスをして、瞼(まぶた)に口吻けた。 「そういうのはオレが考えるからいいんだよ。お前は・・・オレのことだけ考えてろ」 「っっっ・・・!」 珀英が驚いたように更に大きく目を見開いて、何をどう言ったらいいのかわからない感じで、口唇を開いては閉じる。 オレは意地悪く微笑んで。体を少し起こして、汗ばんだ広い額に口吻ける。額は汗のせいで少しだけしょっぱかった。 「駄犬のくせに・・・ご主人様がどうして欲しいのかだけ考えろ。それ以上に重要なことなんかあるのか?」 「ないです・・・・」 珀英が嬉しそうに、嬉しそうに顔を綻(ほころ)ばせて、頬を紅潮(こうちょう)させて笑う。 本当に犬だな・・・尻尾(しっぽ)振ってるのがよくわかる。 「じゃあ・・・オレはどうして欲しいと思う?」 珀英の黒い瞳に、獣じみた狂気が走って、オレの顎を押さえつけて、深く口吻ける。まだ甘い、熱い舌が搦まる。 ああ・・・そう・・・それでいい。 余計なこと考えるな。 お前はオレのことだけ考えてればいい。 オレは珀英の熱に、瞳を閉じた。 Fin

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