4 / 194

第4話 二人の出会い

「伊吹!避けろ‼︎」 体育の授業中バスケの試合があり、自分のチームが試合をする順番待ちをしていた伊吹は、仲の良かった友達との話に夢中になりすぎ、自分の方にボールが飛んできたのに気がつかず……… バンッ‼︎ 伊吹の後頭部に強いボールが直撃した。 ん? 伊吹が状況を把握する前に、目の前がスローモーションに見え…… そのまま、暗い闇へと落ちていった。 ここは…… 次に伊吹が目を覚ましたところは、保健室のベットの上だった。 えーっと…確か… バスケの試合待ちをしてた時…… 飛んできたボールが、頭を直撃して…… 今、ここに至る…か。 保健室の天井を見つめながら、伊吹は記憶を辿る。 うん。 ちゃんと覚えてる。 打ち所は、悪くはなかったみたいだ…… 少しずきんと痛む頭を押さえながら、伊吹が体を起こすと…… ‼︎‼︎ 誰⁉︎ 伊吹が眠ってたベットには、一人の男子生徒がベットに組んだ腕を乗せ、その腕の上に頭を乗せて眠っていた。 その男子生徒を、よくよく見ると…… 東 蒼(あずま あおい)⁉︎⁉︎ もともと綺麗な顔立ちだが、無防備に寝ている彼は、いつもにも増して魅力的だ。 保健室の窓から入る風が、蒼の艶やかな髪をたなびかせる。 綺麗な顔してるな〜。 綺麗過ぎて、やっぱり近付き難い…… 東くんが起きる前に、ここから退散しようかな… なるべくイケメンとは関わりたくなかった伊吹は、 蒼に気づかれないように、ベットからそーっと降りようとした時… ん?? 伊吹は自分の手を見た。 え? なんで? 蒼は伊吹の手を、ギュッと握ったまま寝ていたのだった。 手をそーっと抜こうにも、しっかりと握られていて抜けない。 どうしよう…… もう一度、抜けるか試してみよう… ゆっくりと蒼の手から抜こうとすると…… !! 今度は強くぎゅっと握り返され… 起きた⁉︎ 恐る恐る蒼の方を見ると、寝起きだが、うっとりするほど美しいその顔で伊吹は見つめられ、蒼が甘い声色で囁く。 「ねぇ、伊吹くん。俺と結婚を前提に付き合ってくれませんか?」 「‼︎」 言葉の意味が理解できずに、伊吹が固まっていると、蒼は伊吹の耳元に顔を寄せ、 「お願い。付き合って……」 伊吹の耳元で囁かれたその言葉は、まるで呪文のように伊吹を痺れさせ、 「…はい…」 伊吹は考える間もなく答えていた。

ともだちにシェアしよう!