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第10話 出会い ① ー伊吹sideー

今日は祝日で土曜日。 明日も大学が休みなので2人ともゆっくり起きて、2人で作った朝食を楽しんでいた。 「ねぇ、伊吹。今日、本屋に行くの付き合って」 「いいけど、どうしたの?いつも本は電子書籍なのに」 伊吹と蒼。 どちらも読書が好きだが、 伊吹は紙媒体派。 蒼は電子書籍派だった。 「昨日、夢に出てきたんだ。伊吹と一緒に初めて読んだ、あの本」 「あー確か、高校生だったころに流行った、あの本」 ホームルームが長かった伊吹のクラスが終わるまで待っている間、いつも蒼が読んでいた本格推理本。 『今回は騙されないぞ‼︎って思いながら読んでいても、最終最後のどんでん返しでいつも驚かされる』 って言って、2人で一緒に読んだっけ。 「その本がどうしたの?」 「あれ、記念に置いておいて、また伊吹と一緒に読みたくて。そうしたら、またあの時のこと思い出すだろ?」 「?そんな事しなくても、忘れるほど前の話じゃないのに」 特に蒼の記憶力は凄いから、忘れる方が難しいと思うんだけど… 「だって、あの本読んでた時、伊吹が初めて誘ってくれたじゃん」 「?」 「ほら、半年記念に、セッ……」 「あーーーーーー‼︎‼︎」 蒼が最後まで言ってしまう前に、蒼がなんと言おうとしているかわかった伊吹は、慌てて言葉を遮るように蒼の口を両手で塞ぎ、大きな声を出した。

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