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第30話 ーー俺の番は‼︎ 蒼sideーー

あれから蒼は12時間以上、眠り続けている。 このまま、目を覚さなかったら…… 「蒼……起きてよ……」 美しい寝顔で眠る蒼の髪を、優しく撫でる。 蒼の口から聞きたい。 嘘でもいいから、 『柚は俺の運命の番じゃない』って…… 聞いたことがある。 運命の番が出会えば、すぐにわかるって。 強烈なフェロモンが発せられるとも… でも蒼と柚くんは知り合いだったじゃないか… その時はフェロモンに反応してなかったじゃないか… もしかしたら蒼と一緒にいた時の柚くんは、まだオメガと判断できなかったのかもしれない。 だから、反応しなかったのかも… 分からなかったのかも…… とうとうこの日が、きてしまった……。 「わかってたのに、、な…」 伊吹は1人、呟いた。 結局、蒼は20時間ほど眠り続けてやっと目を覚まし、伊吹が『念のため、病院に行った方がいい』と言ったが、蒼は『大丈夫』と言って行かなかった。

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