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第53話 ー接触 ① 伊吹sideー

柚からの電話があってから、3日ほど経った。 その間、伊吹は伊吹なりに、これからのことを色々考えた。 それは蒼と柚が番だとしても、蒼が自分のそばにいてくれる間だけでもマイナスな事は考えない。 明るくいこうと。 だって暗い事を考えても、何も変わらない。 それなら明るくいるほうが、気持ちが楽になるかもしれないから。 でも時々、不安になるのも否めない。 そして、そんな時は蒼とのアルバムを見るのだった。 大学の講義が終わり、もうすぐ門を出るという時に、蒼が急に立ち止まった。 「あ!伊吹、俺、教授に頼まれてたレポート、渡しそびれてた‼︎悪いんだけど、先に帰っててくれる?すぐに追いつくから」 蒼が少し困った顔で伊吹を見た。 「蒼が忘れるなんて珍しいね。じゃあ先に帰って、スーパー寄って晩ご飯の用意しておく」 「ありがとう伊吹。俺も急いで追いかけるから」 「うん」 伊吹が微笑むのを見て、蒼は校舎の方へ駆けて行った。

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