51 / 194
第53話 ー接触 ① 伊吹sideー
柚からの電話があってから、3日ほど経った。
その間、伊吹は伊吹なりに、これからのことを色々考えた。
それは蒼と柚が番だとしても、蒼が自分のそばにいてくれる間だけでもマイナスな事は考えない。
明るくいこうと。
だって暗い事を考えても、何も変わらない。
それなら明るくいるほうが、気持ちが楽になるかもしれないから。
でも時々、不安になるのも否めない。
そして、そんな時は蒼とのアルバムを見るのだった。
大学の講義が終わり、もうすぐ門を出るという時に、蒼が急に立ち止まった。
「あ!伊吹、俺、教授に頼まれてたレポート、渡しそびれてた‼︎悪いんだけど、先に帰っててくれる?すぐに追いつくから」
蒼が少し困った顔で伊吹を見た。
「蒼が忘れるなんて珍しいね。じゃあ先に帰って、スーパー寄って晩ご飯の用意しておく」
「ありがとう伊吹。俺も急いで追いかけるから」
「うん」
伊吹が微笑むのを見て、蒼は校舎の方へ駆けて行った。
ともだちにシェアしよう!