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第93話 ーー和臣 ② 蒼sideーー

兄さん‼︎ 蒼は急いでドアを開けると、そこには急いできた和臣だけの姿があった。 「ごめん兄さん。急に…」 蒼が謝ると、和臣は柚を見る。 「それは気にするな」 密閉されたトイレの中、柚のフェロモンの濃度が高く量も多かったからか、一瞬和臣は眉をしかめ柚の症状を診始めると、すぐさま眉間のシワがより強くなった。 「蒼、この子が康樹から聞いた柚くんか?」 「はい」 蒼が答えている間も、和臣は脈を測ったり、眼球を診る。 そして、鞄の中からステンレス製の箱を取り出し、その中から注射を取り出すと柚の腕に刺した。 すると、先ほどまで青白い顔をしていた柚の顔に少し赤みが戻り始める。 「今から車で病院まで運んで検査をするよ。その時、蒼、詳しい話を聞かせてくれるか?」 和臣はまだぐったりしている柚を抱きかかえると、トイレから出た。

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