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第115話 ー蒼の告白 ④ 伊吹sideー
「蒼……」
流れる蒼の涙を伊吹は拭う。
「蒼が悲しいと、俺も悲しい…。蒼…何でも言って欲しい…」
覚悟は決めたよ、蒼。
蒼の気持ちが楽になるなら、俺はなんでも受け止めるよ。
伊吹は蒼の頬に手を当てた。
「…………。伊吹に黙ってた事があるんだ…」
しばらく黙ったままだった蒼が、真剣な眼差しで伊吹を見つめる。
あ…、柚くんの話…かな…
わかっていた事だが、いざ蒼から切り出されると、キュッと全身が締め付けられる。
蒼、俺は大丈夫。
……。
でも、今別れを言われたら?
「伊吹…?」
「…うん…」
伊吹は静かに返事をした。
「実は、柚のことで…」
返事のない伊吹に向かって、蒼が話しはじめた。
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