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第114話 ー蒼の告白 ③ 伊吹sideー
蒼を安心させるように、伊吹は蒼の背中に腕を回し、抱きしめ返す。
「蒼は大丈夫?診察受けてたって聞いて、心配してたんだ」
伊吹は蒼の胸に埋めていた顔を上げ、不安で仕方ないという蒼の顔を見上げた。
聞きたい事沢山あったけど、いざ蒼に会うと、全部どうでも良くなってしまう。
蒼がいてくれたら、それでいい。
いつか離れないといけないのだから、それまでは沢山思い出作りたい…
大好きだよ、蒼。
「蒼、さっきはごめんね…。『さっさと行けよ!』なんて言って…。本当は一緒に…、蒼と一緒に居たかっただけなんだ…」
少し目を伏せながら伊吹が言うと、
‼︎‼︎
蒼の瞳に溜まっていた涙が、はらはらと頬を伝った。
今までどんな時でも、伊吹は蒼の涙を見たことがなかった。
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