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第129話 クリスマス会 ①
年の瀬も迫る、日曜日。
春日山児童養護施設の人々は、大人も子供も忙しそうに施設内を行ったり来たり。
「柚にぃ〜。輪飾りできたよ‼︎」
4、5歳児の男の子と女の子が、色紙で作った色とりどりの長く繋げた輪飾りを持ち、
いつもはみんなで食卓を囲む大広間のテーブルを拭く、柚の所へ駆け寄ってきた。
「わ〜!すごい‼︎こんなに綺麗で長い輪飾り見たことないよ。ありがとう、潤、ナズナ」
得意げに柚を見上げる、潤とナズナの頭を撫でると、2人は得意げに笑う。
「この輪飾り見たら、サンタさんもびっくりするかな?」
潤が自分達が作り上げた輪飾りを見つめると、
「びっくりするに決まってるよ‼︎だって柚にぃだって『すごい』って言ってくれたもん。柚にぃはどう思う?サンタさん喜んでくれると思うでしょう?」
ナズナが嬉しそうに輪飾りがより柚に見えるよう、輪飾りを高く持ち上げた。
「びっくりして尻もちついちゃうほどだと思うよ。ね、清美先生‼︎」
柚は近くで柚が拭いた机にも飾り付けをしていた清美に話しかける。
「絶対びっくりされると思うわよ。柚くんも、潤くんも、ナズナちゃんもこんなに頑張ってるんですもんね」
清美は柚、潤、ナズナの順に頭を撫でると、3人は互いに顔を見合わせて微笑み合った。
「今日のクリスマス会、いい子にしてたからサンタさん来てくれるかな?」
柚は華やかに飾り付けられていく部屋を見渡した。
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