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第137話 突然の別れ ④

次の日、柚の母親は、柚を迎えには来なかった。 クリスマス会と、柚のお別れ会が行われるはずだった、あの日の晩。 柚は院長に説明された。 『お母さんは、お空に行ってしまって、柚くんを迎えに来れなくなってしまった』 と。 柚には理解できなかった。 どうして、お母さんはお空に行ってしまったの? お空に行ったら、どうしてぼくを迎えに来れないの? お母さんはぼくを迎えに来たくなかったの? 『絶対に迎えに来る』って言ってたのに… サンタさん…… ぼく、いい子にしてたよ。 小さい子に、優しくしたし、 お兄ちゃん、お姉ちゃんとも仲良くしたよ。 先生のお手伝いも沢山したし、 お勉強だって頑張って、 この前のテストも100点とったよ。 ねぇサンタさん。 ぼくはまだ、いい子じゃなかったの? ぼくもっと頑張るから、 次のクリスマスは、絶対お母さんといっしょに住めるプレゼントください。 お願い、サンタさん… まだ広間に飾られている大きなツリーの下、 先端に飾られ、日の光を浴び輝く星を見ながら、柚は願った。

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