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第152話 ー箇条書き 伊吹sideー
蒼が和臣さんと話をしている。
多分、話は柚くんだ。
2人が柚くんの話をしていても、前みたいに苛立ったり、悲しくなくなったのは事実だけど…
全く気にしなくなったと言えば嘘になる。
蒼は後で和臣さんのと話、教えてくれるのだろうか………
………。
色々考えてしまうと、気が沈む……
でも、今は落ち込んでなんていられない‼︎
今俺が出来ること。
それは一度、きちんと自分の事を考えること‼︎
家に帰ってきた伊吹は、沈んでしまいそうになる気持ちを奮い立たせるように、メモとペンを出し、机に向かった。
まず箇条書きだな。
① 後天性オメガ
(フェロモンがいつ出てるか、分からないのが難 点)
② 治療方法
(投薬?手術?両方? 菊池先生と中星先生に要 相談)
③………
箇条書きの③のところで手が止まる。
③………。
柚くんと蒼と俺…。
俺、2人の間に入ることできるのかな?
そもそも俺は蒼といてはいけない?
蒼がいないこれからなんて、俺はやっていける?
こんな日が来ること、ずっと覚悟してたのに、
いざ問題に直面すると割り切れないんだな…
伊吹がペンをくるくる回しながら、箇条書き③のところに何を書くか考えていると、
「伊吹、何書いてるの?」
「わっ‼︎」
伊吹は背後から蒼がきてるのに気がつかず、
蒼が伊吹のメモを覗き込み、驚いた。
「あ、ごめん。驚かせて…」
蒼が謝ると、
「ううん。ちょっと考え事してて、蒼の気配気がつかなかっただけだから」
伊吹は咄嗟にメモを蒼に見られないように、裏返した。
「……。そうだ伊吹、和臣兄さんとの話なんだけどさ…」
蒼は伊吹の行動を気にしている様子だったが、あえてそれには触れず、話を変える。
和臣さんとの話……
柚の事は気になるし手助けしたいと思うが、考えると伊吹の胸がチクリとする。
柚くん大変なのに、俺って自分のことばっかり。
最低だ…
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