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第153話 ー箇条書き ② 伊吹sideー

「話が長くなりそうだから…」 と、ソファーに座る伊吹にホットミルクを渡し、蒼は自分の紅茶をローテーブルに置いた。 それから柚と再会してから今までの経緯と、和臣との話を、蒼は伊吹に全て話した。 柚は今日、明日も検査入院することになり、その事も含め、保護者代わりの孝司に連絡しなくてはいけなかったこと。 はじめ柚は孝司にこの事が知られる事を嫌がり、それならば…と帰りたがったが、和臣と学の説得により、しぶしぶ孝司の連絡先を教えたこと。 その孝司は和臣、学、柚の思いとは正反対に、病院からの連絡を受け、すぐに病院に来、そして治療も『できる全てのことを願いしたい』と積極的だったこと。 ここで和臣がひとこと蒼に告げたのは 『この件は、一筋縄ではいかないかも』 と、いうことだった。 「それで、柚くんの体調は?」 あまりに蒼の話を真剣に聞いていた伊吹のホットミルクは、手付かずのまま冷えていっている。 「とりあえずは落ち着いてきてるみたいだけど………」 蒼はそこで一度言葉を切り、 「伊吹…」 隣に座る伊吹を抱きしめた。 「伊吹、体調は?」 「大丈夫。でもフェロモン出てるか、自分では分からなくて……。もし蒼に迷惑かけたら…」 ただでさえ蒼のラット抑制剤の量が増えているのに、これ以上は増やせられない。 「実は俺、伊吹からフェロモン出てるかも…って思ってたんだ」 「え?」 蒼の思わぬ告白に、伊吹は目を見開く。 蒼、気がついてだんだ… 「じゃあどうして言ってくれなかったの?」 素朴な疑問を伊吹は蒼に投げかけてみた。 「俺の勘違いかと思ってた。伊吹はベータだからフェロモン出るはずないって…。でも後天性オメガだったなんて…」 蒼、俺が後天性オメガだって事、嫌だってこと? オメガな俺とは一緒にいれないってこと? 伊吹の胸がざわつく。

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