156 / 194
第158話 気づかなかったフェロモン① ー伊吹sideー
全然気が付かなかった。
蒼がいてくれなかったら…
背中に寒気が走る。
「蒼、俺のフェロモン大丈夫?」
伊吹が心配そうに蒼の顔を覗き込む。
「本当は伊吹の甘い香り、食べてしまいたいけど……」
「‼︎」
「でも安心して伊吹。俺は大丈夫」
蒼は伊吹の頭を優しく撫でた。
蒼は大丈夫。
安心したけど…
やっぱり寂しい。
俺のフェロモンに蒼は反応しないんだ…
「一応、家に帰ったら薬飲むよ…」
蒼は大丈夫って言っても、一応飲んでおかないと…
「いや、伊吹、薬飲まなくていいよ」
え?
「俺は大丈夫だから、伊吹はゆっくりしてたら治るかもだし…。それまで様子見よう」
……。
そんなに蒼には影響ないんだ……
反応しないんだ…
悲しいけど、これが現実。
受け止めていかないと…
伊吹の胸が痛んだ。
ともだちにシェアしよう!