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第159話 報告 ーー蒼sideーー

「蒼…、ちょっといいか?」 和臣が伊吹と蒼の家まで送り届けた時、蒼に声を掛けた。 多分柚のことだ。 「それだったら伊吹も…」 言いかけたが、 「俺だったら大丈夫。蒼だけで和臣さんと話ししてきてよ」 そう言って伊吹は家の中に入っていった。 「それで、伊吹くんには柚くんのこと、きちんと話したのか?」 責めたりするようなきつい口調ではなく、和臣の口調は優しい。 「話したよ。伊吹も今の状況はわかってくれてるみたいなんだけど、それでもちゃんと伝わったか心配で…」 蒼は少し目を伏せる。 「そう思うんだったら、これから伊吹くんが心配にならないようにしていくのが、蒼の役目だな」 和臣は優しく蒼の頭を撫でた。 「柚くんのことなんだが」 「はい」 柚に何か悪いことが起こっていないか心配だ。 「検査入院が必要で……」 和臣は経緯を話し始めた。 柚は今日、明日も検査入院することになり、その事も含め、保護者代わりの孝司に連絡しなくてはいけなかったこと。 はじめ柚は孝司にこの事が知られる事を嫌がり、それならば…と帰りたがったが、和臣と学の説得により、しぶしぶ孝司の連絡先を教えたこと。 その孝司は和臣、学、柚の思いとは正反対に、病院からの連絡を受け、すぐに病院に来、そして治療も『できる全てのことを願いしたい』と積極的だったこと。 「え?孝司さんは柚の治療、すんなり受け入れたんですか?」 「そうなんだ。受け入れたというより帰る寸前まで『今できる最善の治療を、お願いします』と念押しされたぐらいだ」 ‼︎ そんな事が。 俺が想像していた答えと全く違う。 「今の段階では堀内氏がどう考えているかわからない。細心の注意をしておくが、この件は、一筋縄ではいかないかも…」 たしかに孝司さんの第一印象は、優しそうな人だった。 でも柚から聞く話は全く違っていて… どっちの顔が本当なんだ? 「…。そうですか…。和臣兄さん、ありがとうございます。話は違うんですが、聞きたいことがあって…」 蒼は携帯のアルバムから2種類の薬の写真を、和臣に見せた。

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