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第160話 薬 ーー蒼sideーー

「これは?」 「一つは俺の抑制剤。もう一つは伊吹の薬。見たことがない物だったので、学さんにお聞きしたくて…」 まじまじと和臣はその写真をみて、 「学に今メールで聞いてみる。早い方が蒼も安心だろ?」 和臣は学にメールすると、すぐに電話が入った。 『蒼くん、和臣から聞いたよ。体調は?』 電話の向こうからは、穏やかな学の声がする。 「はい、大丈夫そうです。それで薬の件なんですが…」 伊吹の薬が心配で、蒼の心音が大きくなる。 「2種類とも至って一般的な薬だよ。蒼くんのは俺が処方していた薬より抑制される時間が長いから、少しきつくなっている。伊吹くんのは…」 「はい…」 「これも一般的な物だけど、初めて飲むには少しキツイかも」 「キツイって…」 何か体に悪いのか? 「星野先生と菊池先生が処方された薬だから、安心だけど、即効性がある代わりに、その分薬の濃度がきつい」 「‼︎」 「徐々に進めていく薬を初回から出されたってことは、それだけ伊吹くんのフェロモン度合いが高かったって事かもしれないね」 「伊吹の体には……」 「処方箋に書かれていると思うけど、問題ない。それでも心配なら、少しのフェロモン放出ぐらいでは、安全な場所で蒼くんが様子を見て、もしフェロモンが多くなってきてから飲んでもいいと思うよ」 それって頻繁に飲まない方がいいってこと? 「わかりました。気をつけておきます」 「ん。蒼くんは小さい時から、なんでも自分で背負い込もうとするけど、菊池先生も中星先生も和臣も俺もいるから、いつでも頼って」 「ありがとうございます」 「どういたしまして」 そういうと、学は電話を切った。 「少しは安心したか?」 和臣が優しく蒼に問いかける。 「はい。ありがとう、兄さん」 少し不安げだが、蒼は笑顔を返す。 『なにかあれば、すぐに連絡する様に』と言い残し、和臣は帰っていった。 伊吹は俺が守る。 でも、本当に守りきれる? 俺は無知すぎる。 蒼の中の不安が膨らんでいった。

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