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第161話 箇条書き ① ーー蒼sideーー

「ただいま」 蒼が声をかけるが、伊吹からの返事はない。 寝てるのかな? そっと部屋に入るとローテーブルの前に座り、何か考え事をしているようだ。 伊吹がペンを回して考え事してる姿は、昔から変わらず可愛い。 「伊吹、何書いてるの?」 「わっ‼︎」 伊吹は蒼が帰ってきているのに気がつかず、 蒼が伊吹のメモを覗き込んでいる事に驚いているようだ。 「あ、ごめん。驚かせて…」 蒼が謝ると、 「ううん。ちょっと考え事してて、蒼の気配気がつかなかっただけだから」 伊吹は咄嗟にメモを蒼に見られないように、裏返した。 チラッと何かを箇条書きにしていたのは見えたけど… 俺に見せたくないもの? 今までそんな事なかったのに、心配ごとだろうか? でも伊吹が言いたくないことを、聞くのは… 様子を見て聞いてみよう。 「……」 蒼はあえて触れないようにした。 それよりも先に伊吹に柚のこと、話しておかないと… 「そうだ伊吹、和臣兄さんとの話なんだけどさ…」

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