167 / 194
第169話 蒼の寝坊 ① ーー蒼sideーー
3度目。
蒼が目覚めたのは午前5時。
蒼はなんの迷いもなくキッチンに向かうと、3錠目の薬を口に含み、水で体内に流し込む。
そして伊吹が気付く前にベットに入ると、先ほどまでなかった眠気に襲われ、ストンと穴に落ちたように深い眠りに入っていった。
「…おい…。あおい………、蒼ってば‼︎‼︎」
「…ん…?」
蒼は伊吹に思いっきり体を揺さぶられ続けて、目を開けた。
「やっと起きた‼︎」
あれ?
いつも可愛い伊吹が、今日は怒ってる……
「伊吹……、怒ってる?」
ぼやけて見える伊吹の頬に、蒼が手を当てた。
「怒ってないけど、焦ってる‼︎蒼、早く起きて‼︎遅刻しちゃう‼︎」
伊吹は一生懸命、蒼の腕を引っ張り起こそうとしている。
「遅刻?なんで?」
なんだろう……
頭がほわほわする…
「もー!ほらこれ見て‼︎もうこんな時間‼︎バス行っちゃうよ‼︎一限目のテスト、間に合わなくなっちゃうって‼︎‼︎」
伊吹に突きつけられた携帯の画面で時間を確認すると………
ともだちにシェアしよう!