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第173話 記憶 ー伊吹sideー

家に帰ってきたけど、 やっぱり蒼の様子がおかしい… さっきから、明らかにソワソワしている。 俺と目を合わせない。 蒼に触れようとしたら、体をビクッとさせる。 何を聞いても『大丈夫』だといい、 俺が薬を飲もうとすると、絶対に飲ませてくれない。 「蒼、つらいんでしょ?」 眉間にシワを寄せている蒼の顔を伊吹が覗き込む。 「大丈夫……。だけど、ちょっと菊池先生に電話してみるよ…」 携帯を取りに、蒼が立ち上がると… 「蒼‼︎」 蒼はふらつき、あと少しで机の角で頭を打ちそうになっていた。 「ごめん。ちょっと立ちくらみ。やっぱりちょっと大丈夫じゃないかもな…」 伊吹は額に冷や汗をかき始めた蒼にそばに駆け寄り、蒼に肩を貸そうと蒼の体に触れたとき…… え……? 思うより先に目の前が真っ白になり、 記憶がそこで途切れた。

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