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第181話 治療方法 ① ー伊吹sideー

菊池病院での2回目の診察の日。 蒼と伊吹は両親と共に菊池病院に行った。 蒼の担当は勇気。 伊吹の担当は瑆。 それぞれ専門分野が分かれているため、別々の担当医となった。 「伊吹くん、久しぶり」 カウンセリングルームのような診察室に入ると、瑆が笑顔で出迎えてくる。 「初めまして、今回、伊吹くんを担当させていただきます中星瑆です」 瑆が伊吹の両親に手を差し出し挨拶をすると、 「寺前です。よろしくお願いします」 伊吹の両親も挨拶をし、ソファーに腰を下ろした。 「ところで伊吹くん。体調どう?」 各4人の前に飲み物が出されると、瑆はティーカップを片手に何かメモを取る様子もなく、ただ普通にお茶するような感じで診察を始める。 「フェロモンが出てたみたいなんですけど、俺自身はわからなかったんです。でもその時の様子を蒼がメモしてくれていて…」 伊吹は蒼から預かったメモを瑆に手渡すと、 「さすが蒼くんだね」 感心したように微笑み、瑆は手渡されたメモに目を通すと、少し眉を顰《ひそ》めた。 「まずご両親に『後天性オメガ』について、ご説明します」 と言うと、瑆は伊吹との出会い、症状名など、こと細やかに説明し、そのあと瑆は治療方法は2パターンについて話しをし、 一つは、フェロモンを完全に抑える『ベータ化』。 もう一つは、フェロモン量を調節しながら子宮の成長を待つ『オメガ化』があり、後天性オメガ治療で、患者の体に負担をかけにくい最もよく用いられる治療が『ベータ化』だという事も説明した。 「伊吹くんの場合『オメガ化』の治療も考えましたが、子宮とフェロモン数値の差をみて、体に1番負担をかけないのは『ベータ化』治療だと思います。なので……」 ちょっと待って‼︎ ベータ化治療っていったら、俺、オメガじゃなくなるの? ベータに戻るってこと? じゃあ、蒼と番になれないじゃないか‼︎ 俺がベータだと蒼のそばにいられない。 蒼に頸を噛んでもらわないと、蒼とずっと一緒にいれる約束、なくなってしまう。 そんなの嫌だ‼︎ せっかく蒼は運命の柚くんじゃなくて、俺を選んでくれたのに… もしかしたら、蒼は柚くんと番になるかもしれない… そんなの耐えられない。 もう『もしものは覚悟』なんて、できない‼︎

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