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最強の来訪者☆38

* * * 晴臣・side * * * 『た、ただいま帰りましたっっ!』 エレベーターを降りて部屋まで ちょっとズルして走ってしまったけど とにかく やっと到着!! クツを脱ぐのも もどかしく リビングに飛び込むと、 2人はダイニングテーブルに座っていた。 『おかえり、ハル。』 英道が すぐに立ち上がって俺のそばに来てくれた。 よかった・・・・・ 元気そう・・・・・ 2人の表情を ジーッと見てみる。 けど、 何を話したのか、 何を言われたのか。 今が どういう状況なのかは読み取れない。 とにかく 英道、悪く言われてないといいけど。 『晴臣、ケーキ置いて?』 『───はいっ!!』 あ、あああ!そうだ。 ケーキ!! 姉ちゃんに渡さないとっ!! 落とさないように、テーブルの上に 丁寧に置いてから、また英道の元へ戻る。 『英道、大丈夫だった?』 俺の問いかけに英道は静かに頷いた。 ああ・・・・・ 英道が無事でよかった・・・・・ 姉ちゃんが暴れてなくてよかった・・・・・ あ、ダメだ。 俺・・・・・泣きそう。 と、思った その時・・・・・ 『じゃあ、私は帰るわね。』 ケーキは2人で食べなさい、と 姉ちゃんは さっさと帰って行ってしまった。 『・・・・・え??』 正直、帰ってくれてホッとしたし、 反対もされなかったって聞いて、 安心もしたんだけど・・・。 なんか、モヤモヤする・・・・・ 姉ちゃん、 英道の事・・名字じゃなくて「英道」って呼んでた。 それに、なんだか親しげに見えたし・・・。 なんで? 会って すぐに意気投合?? え・・・・・なんかそれ・・・・・ なんか すごく嫌っっ!! 別の心配が急浮上。 ぐるぐるしていたら、 英道は、姉ちゃんが高校生の頃の知り合いで 薫ってヤツ(名前だけはやたらと聞くけど会った事はない)の、元カノだったって教えてくれた。 『世間て 狭いよなー。アイツがハルの 姉ちゃんって・・・、ビックリだわ・・・。』 そう、疲れたように言う英道。 もしかして・・・ 俺が桜子姉ちゃんの弟だってわかった途端 付き合うのがイヤになっちゃったんじゃないか と不安になる。 ど、ど、どうしよう・・・・・ そう思ってしまったら そうとしか思えなくなってきた。 段々、悲しくなって下を向くと 涙が溢れそうになって慌てて顔を隠した。 『ハル?どうしたんだよ。』 何度か名前を呼ばれて、 さすがに無視はダメだ!と、 顔を上げたら・・・・・ 半べそをかいてる俺を見て、 英道は ぎょっと言葉を飲み込んだ。 『俺が弟なの・・・イヤじゃない・・・?』 思いきって聞いてみたら 英道は 俺は俺だって、姉ちゃんは関係ないって。 例え 姉ちゃんがどんな人でも。 「俺はハルと居たい」って。 英道にそう言ってもらえて、嬉しくて。 『・・・・うんっ・・・俺も・・・・っ!』 思い切り英道に抱きついた。 よかった・・・。 やっと・・・やっと安心して笑えた。 って、泣き笑いだったけど(笑)。

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