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恋のはじまり??☆25
** 中野・side **
『まずは・・・俺、ずっと会えない間、
伊吹の事ばっかり考えてた。』
『まぁ友達でも あんな別れ方すればね。』
伊吹が さらっと返してくる。
『いや、そうじゃなくて。
気になって仕方なかったんだ。
心配で・・・会いたくて・・・』
『それも友達だったからだよ。
友達を心配するのは当然だと思うよ?
中野くん、優しいし。』
『・・・・・・・・。』
やたら「友達」を強調して言ってくる伊吹。
そう思いたいのか、思わせたいのか。
どちらにしても、話が進まないから
やめてほしい。
『・・・・・伊吹。黙って聞いて。』
『・・・・・・・・・。』
強めに言うと、伊吹はフッと不満そうに
俺から目を反らした。
『・・・・・会いたいと思った。
とにかく、ただ会いたいって思った。
そんで、前みたいに居られたら、って。
伊吹と居るの、楽しかったから。』
『・・・・・あのねぇ、中野くん・・・・』
俺の言葉に、横を向いていた伊吹が反応する。
何か言いかけてるけど・・・、
先に 言いたいこと 言わせてもらおう。
隠さないで、正直に。
『俺・・・伊吹に対する自分の気持ちが なんなのか
・・・分からなかった。
本当に情けないけど、こんな状況になっても
分からなくて・・・どうしたらいいか迷ってた。
でも、これだけは譲れないってモノがあって・・・
それが、離れたくない、一緒に居たいって
気持ちだった。
俺にとって、伊吹は特別な存在なんだ。
それは・・・分かってほしい。』
『・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・でも、俺には酷だった。
一緒に暮らす、とかさ。
変に期待させるような事、
軽々しく言ってほしくなかった。』
今度は膝を抱えて顔を埋めてしまう。
『それは・・・・・・・・・ごめん。
でも、あの時は・・・頑張ってる伊吹を
どうにか応援出来ないかって、
それしか考えてなくて・・・。
伊吹と一緒に住むっていうのも、
軽く言ったけど結構 本気だったし。
抵抗も なかった。』
伊吹は、少し顔を上げて ため息を吐くと
ゆるゆると首を振る。
『・・・・それは・・・抵抗なかったのは
俺の見た目が女の子だったからだよ。』
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