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恋のおわり?★1

* * * 伊吹・side * * * “ つきあうのは無理 ” “ 友達でいいなら ” クリスマスの日。 自分の想いをぶつけて 「フッて欲しい」と頼んだ俺に 中野くんは そう言った。 それは、 俺の望む関係ではなかったけど ほんの少しの間でも 傍にいられるなら・・・ 中野くんの望む「友達」になろうって 思った。 少しの間、だけ。 恐らく この関係は長くは続かない。 何となく そんな予感がしてた。 中野くんは、女装していた俺の見た目に 一目惚れして・・・告白してくれた。 だから、女の子の姿でいたら 少しでも長引かせられるかも。 そんな自分勝手な思いから 男の自分を出さないように気をつけた。 だけど、女の子に見られたいくせに 女の子扱いされるのはイヤで・・・ 化粧は薄くして、 男にも女にも見える服を着た。 でも・・・そんなのは ただの悪あがきで。 結局、中野くんは俺を「女の子」としてしか 見てくれなかった。 女の子としてしか扱ってくれなかった。 心配してくれたのは嬉しかったけど・・・ 俺は守ってもらう程、弱くはない。 だって・・・俺は 女の子じゃない。 自分が決めた事なのに・・・ 友達に耐えられなくなったのは俺の方。 無理・・・もう無理。 このままじゃ、この先 もっと好きになって、 もっとツラくなる。 今か、先か・・・いずれ 別れは来る。 無理・・・・もう無理だ。 一方的に別れを告げ、 中野くんの話も聞かずに追い出した。 ・・・俺は、自らの手で 恋を・・・終わらせた。

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