61 / 761

夏休み☆23

出来上がったレタスチャーハンを向かい合わせに座って食べる。 うん、美味しい! 目の前にいるのが、店長っていうのが ちょっと・・・アレだけども・・・・ 『へぇ。遊のヤツ、料理うまいんだな。』 『はい!超うまいですっ!』 ふははは。 そうだろう、そうだろう。 毎日 食べてるんだよ、俺は。 うらやましいだろー。 『うん。やっぱ・・・うちに引っぱるか・・・』 店長が ボソッと呟く。 『・・・?引っぱる?』 『厨房だよ、今人手 足りないんだなー』 へ・・・・・・? 引っぱる、って・・・店に? あの居酒屋に !? 遊を? 『ダメっ !! ダメ ダメ ダメですっ!!!』 『何でだよ。お前も一緒にいれるじゃねーか。嬉しいだろ?今朝だって、バイトで離ればなれになるって 気持ち悪く 2人で、しょぼくれてただろーが。』 『気持ち・・・悪く・・・・』 し、失礼な! 離れるのは寂しいだろーが! 『ダ、ダメです!あの店は!』 『ああ?何でだよ。』 『だって!遊のあの可愛さ・・・! 酔っぱらいに絡まれたり、ナンパされたり 心配で俺は仕事になりませんっ!』 『・・・お前、自分が仕事 出来る!とか思ってんのか?おめでたいなー。』 『・・・・・・・え?ちょっと! それ、ひどくないですか?』 『うっせーよ。それに・・・ あいつなら大丈夫だと思うけどな?』 『え?』 『だから あいつは、大丈夫だって。』 『な、何で・・ !?根拠は !?』 『アイツ・・・お前より、よっぽど強いだろ』 ・・・・強い?遊が・・・? 俺より・・・・・・? あ。 『・・・・確かに。力は俺より強いかなー、って思う事も・・・・たまに・・・』 そう。 最近、気がついたんだけどね。 すると、店長は頭をガシガシ掻きながら 『んー?まぁ、力は ともかく。 アイツ、見た感じは気弱そうに見えるけど 意外と芯が通ってるつーか、ブレないっつーか。』 『───っ!て、店長・・・・・・!』 すげ・・・・・! 遊のいいとこ、分かってる! はっ! いかん、いかん。 それとこれとは別! 『いや、とにかく!ダメですからね !?』 『はあ?これは お前じゃなくて、遊が決めることだろ。』 『いや!ダメですって!』 『ちっ、話にならんな。』 店長は、スッと立ち上がる。 あれ? あんなに喋ってたのに、いつ食べたんだか 皿は空になっていた。 俺を なんだか汚いモノを見るような目で 見ると・・・・ 『お前のワガママで遊の可能性を潰すなよ?』 と、一言。 『じゃあ、俺は出かけるから。』 さっさと、出て行ってしまった。 遊の可能性・・・・・ 俺が・・・・潰す、って? いや いや いや。 遊は 別に料理人・・・シェフっつーの?に、なりたい訳じゃないと思うんだけど・・・。 そういうの聞いたことないし。 でも・・・・ 一応、遊に聞いてみるか・・・ はっ! もしや店長、 遊が欲しいから ウチに来た、とか? だとしたら・・・本気・・・・・?

ともだちにシェアしよう!