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夏休み:初めての旅行☆8
夕食は、山の幸、地元の食材を ふんだんに使ってあって、とても美味しかった。
食後に 旅館の裏庭を散歩しながら大浴場へ向かう。
自慢の温泉は、
大浴槽に、ひのき風呂、露天風呂、サウナまであって、片っ端から入って堪能した。
ほこほこ になって出てきて、フルーツ牛乳なんか飲んだりして・・・・これぞ温泉!みたいなベタな事をしてみた。
あと、ベタっていったら・・・卓球?
なーんてね。
もともとインドア派な俺たちは
卓球は しません。
疲れるからね。
もう戻ってのんびりしよう。
───と、部屋に向かっていると、
前から女将が歩いて来た。
なんだか、女将の目が一点に注がれている気がして・・・目線の先を見ると、女将の視線の先は、俺たちの繋いでいる手だった。
『あっ・・・』
旅先で気が緩んでいて無意識にしてたんだ。
うわ・・・・
こういうのって、どう見えるんだろう?
仲がいい・・友達・・・・には、
見えない・・・よな。
ぐるぐる 考えてる間に
目の前に来た女将。
穏やかな笑みを浮かべてはいるけど
何を言われるか・・・・
ちょっと緊張する・・・・
でも、女将から出た言葉は・・・・
意外なモノで
『お湯は いかがでしたか?』
だった。
『・・・・・え?あ!は、はい!』
『とっても、気持ちよかったです・・・』
『それは よろしゅうございました』
・・・・・繋いだ手には一切 触れない。
気づかないふりをしてくれてるのかな。
『あ。お部屋の方の露天風呂も入られました?』
『・・・・・・え?』
『・・・・・・え?』
部屋に露天風呂?・・・あったっけ?
『あら!あらあら!いやだ!
私、説明しておりませんでしたか?
申し訳ございません!
寝室の奥の扉を出たら ありますので、
是非。』
『あ、はい』
『ありがとうございます』
『うふふ。
よい思い出をたくさん作って下さいね』
と、最後に一言。
深々と頭を下げてから、にっこり微笑むと女将はまた歩いて行く。
『き、緊張した・・・・・!』
『気がついたかなぁ・・・僕たちのコト』
『さぁ。まぁでも、
他人にどう思われても関係ないよ、うん』
『えー、でも晃くん、ものすごくヤバい!
って顔してたよ~?』
『ああ・・・いや、追い出されるかと思って・・・』
『えぇー?それはないでしょー』
『分かんないじゃーん』
『ふふっ、ないない』
『えー。そっかなー?』
『そうだよー』
そんな やり取りをしてたら また楽しくなって。
繋いだままだった手を、しっかり握り直す。
そうして、知らなかった部屋の露天風呂!に入るべく、急ぎ足で部屋に戻るのであった。
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