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夏休み:初めての旅行☆19

ああ・・・ 囚われた――と、思った。 晃くんに・・・ 心ごと全部。 そこで、 僕は、とっくに晃くんに恋をしていた事に 気づいた。 僕も、側にいたい。 側で笑っていたい。 笑ってほしい。 晃くんの傍は いつも温かかった。 “ いつも 一緒にいるよ ”って “ 好きだよ ”って言われて それが嫌じゃなくて 嬉しくて・・・・ この気持ちがなんなのか ・・・・ホントは分かってた。 分かってたのに 気づいてないふりをしてた。 晃くんを信じきれてなかった。 裏切られるのが怖くて 踏み込まない事で自分を守ってた。 でも・・・本当は 恋してた。 晃くんは・・・本当に僕のこと・・・・ 好きなんだ。 『・・・・・・・ふっ・・、・・う・・っ・・』 嬉しくて、 でも 胸がすごく苦しくて、 僕は、知らず 涙が溢れ 声を殺して 泣いた。 ――ふと、 頭を撫でる感触に顔をあげると ・・・・晃くんが いた。 『篠宮・・・・・・・いや、遊。 好きだよ・・・・・・俺のホントの気持ち・・・・』 また、涙が溢れてポロポロこぼれ落ちる。 伝えたいのに・・・声にならなくて。 好き・・・・・ 僕も、 僕も 好き・・・・・ 『遊・・・・好きだよ・・・・・』 僕は、言葉の代わりに 何度も何度も頷いた。 『あの・・・さ、俺たち・・・男同士だから、 これからも 嫌な事たくさん あるかもしれないけど・・・・。でも信じて? 俺は遊が好き。本気だから。』 もう、目の前の晃くんの顔が、涙で滲んだ僕の目には写らない。 それでも、何度も頷く事で、僕もそうだと必死に伝える。 泣き続ける僕に、ずっと、ずっと 晃くんは 側にいて頭を撫でてくれた。 しばらくすると、涙は止まった・・・けど、 子供みたいに泣きじゃくってしまった事が すごく恥ずかしくて 顔が上げられなくなった。 その時・・・ 『あの・・・・篠宮・・・ごめん!』 『マジで、ごめんな!』 『悪かったな、からかって』 ・・・・・え? 恥ずかしい・・・・なんて事を一瞬 忘れて、顔を上げる。 さっき、晃くんをからかっていたクラスメイトたちが、ばつが悪そうな顔で立っていた。 『志田が本気なのは よく分かった』 『・・・・・篠宮も、だろ?』 『・・・・・・・・!』 また、声にならなくて、うんうんと頷く。 『ゆ、遊・・・・・っ!ホ、ホントに?』 頷くと、晃くんの顔が バアッと輝く。 『応援するからな!』 『俺は見守る!』 『何かあったら言えよ~』 優しい顔したクラスメイト。 晃くん。 『あ・・・・あり・・・が・・と・・・・』 この日の事は絶対 忘れない。 一生、忘れない。

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