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夏休み:初めての旅行☆18
* * * 遊・side * * *
そんな感じで、始まった僕たち。
ある日の放課後、委員会の集まりがあったのに、忘れ物をした僕は、急いで 教室に取りに戻っていた。
近くまで来て足を緩めた時、クラスメイトの声が聞こえてきた。
『志田さ、ホントに篠宮とつきあってんの?』
『あれ、面(ツラ)は いいけど男だぜ~?』
『バカ!遊びだよ!なあ?』
『俺は絶っっ対 ムリッ!』
『やっぱ女だよなー!』
『あったり前じゃん!
男なんてありえねーよ!』
ゲラゲラと笑う声。
『・・・・・・・・・・・・・っ!』
クラスメイトの言葉が、笑い声が・・・・
胸に突き刺さった。
遊び・・・・・・・
男なんて ありえない・・・・
思わず その場に座り込む。
頭が殴られたみたいにガンガンする。
自分の手足がガタガタと震えて、全身が急激に冷えていく。
と・・・・その時、
『お前ら バカにすんな!俺は本気だっ!』
晃くんの怒った声が 響いた。
『篠宮が男だって!?
そんなの言われなくても分かってんだよ!
でも、そんなの関係ないっ!
俺は!アイツが 好きなんだ!
ホントに好きなんだっ!
・・・俺が!俺が篠宮を・・・遊を幸せにしたいんだ!俺が・・・傍にいて・・・笑顔にしたいんだ!』
こんな・・・・いつも穏やかに笑ってる彼が
こんなに怒ってるのを 初めて見た・・・・。
からかっていたクラスメイトたちも
晃くんの本気の怒りに驚いて
何も・・・言えなくなっていた。
晃くんは 一息ついてから、静かに続ける。
『俺・・・・1度だけ見たことあるんだ・・・
見てるこっちがツラくなるような寂しい・・
でも すごくキレイな・・・笑う遊の顔を・・・・』
『・・・・・・っ・・・・』
晃くんの顔が見たくて・・・・こっそり覗くと、
何を思い出したのか
晃くんは・・・・、
『あれがホントの・・・心からの笑顔だったら、もっとキレイだろうな・・・って。その顔を見たいな・・って思ったんだ・・・・。
だから、俺が遊を 笑顔にしたいんだ。
するんだ 俺が・・・・。好きだから・・・・・』
『・・・・・・・っ・・・・////』
切なくて、優しくて・・・・
僕を想う その顔は・・・
恋してる・・・・
そんな風に見えた・・・
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