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ある男の告白☆16
――数日後。
あれから、少し好奇の視線は残るものの、
声をかけられる事もなくなってきて、俺たちの周囲は静かになっていた。
今までと変わらず、普通に過ごしていたから
噂していたヤツらも、飽きたんだろう。
相変わらず、篠宮も昼休みしか来ないし。
しっかり躾された大型犬のように、遊の言いつけを、守っているのだ。
篠宮、グ~ッド !!
褒めてやろう。
****************
今日の講義を終えて、遊はバイトに行ってしまった。俺はバイトがないので自宅に帰ろう、と駅に向かって歩き出そうとしていた時、後ろから足音が聞こえた。
『志田くんっ!』
と、呼ばれ 振り返れば・・・
フリッフリの服を着た、かわいい女の子が小走りで近づいて来るのが見えた。
んん?・・・・・・・誰だっけ?
見たことは・・・・ある気がする・・・けど。
『あの・・///っ、し、し、志田くんっ!』
講義で一緒の子・・・・かなぁ?
『はい?』
しかし、すっげー、かわいいなぁ。
『あの、あの・・・っ、好きです////!』
『へ・・・?』
『つきあって下さいっっ///!』
『・・・え?』
え?
何?
つきあう?
『・・・・・・え?』
『ずっと、好きでした/////!』
え・・・・・・
え・・・・・?
えぇー?!
俺ぇ?!
『お願いしますっっ///!』
と、その子は右手を差し出してくる。
・・・・ん?
なんだろう・・・・
どっかで見た光景だなぁ・・・
手を差し出す女のコを ジーッと見つめる。
つきあって・・・・か。
男なら、こんなかわいい子に
「好き」なんて言われたら
嬉しくない訳がない。
でも・・・・・
俺は・・・・・
心が まったく動かない。
1ミリも。
どんなに かわいくても
俺は・・・・・
遊がいい。
やっぱり、うん。
遊がいい。
『ごめん。無理』
と、素っ気なく答えると、
その子は、「え?」って意外そうな顔をした後、急に ペコリと頭を下げて走り去って行ってしまった。
・・・・・・・・うーん。
意外に あっさりしてんな・・・
って、
別にしつこくして欲しかった訳じゃないけど。
からかわれただけなのかもしれないな・・
と、また歩き出そうとした時
『見ぃちゃったぁ~♪』
と、聞き慣れた声がした。
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