130 / 761
おまけ☆2
俺たちみたいに、なりたいのか?コイツは。
何 考えてんだ。
そりゃ 無理に決まってんだろーが。
篠宮は、持っていた箸を握りしめる。
バキッといい音がして箸が折れた。
『俺は、いい子にしてるだろー?!』
『・・・・・はぁ?』
『・・・・はいぃ?』
いい子ってなんだ?
つーか、急に 牙をむくなよ・・・駄犬め。
怖いじゃんか・・・!
『俺は・・・・俺はぁ・・・・
いつになったら友だちになれるんだー!』
叫ぶ篠宮。
・・・・・・・・・・は?
はい?
友だち?
あぁ・・・そういえば まだ 篠宮は
・・・なんだっけ?
「お知り合い?」だっけ?
「お友だち」には昇格してないんだった・・・
『・・・・・うるさい』
遊の冷たい一言。
篠宮は、ピシッと固まる。
『あ、嘘です。全然そんなこと思ってないです。お知り合いで十分・・・・』
慌てて、言い訳を始めた時。
『もう、なってるよ。友だちに・・・』
遊が呟いた。
『え?』
篠宮が驚いたように遊を見る。
『今・・・・なんて・・・・・・・?』
『2回は言わない』
『あ・・・っ・・・俺・・・俺・・・ううっ・・うぉぉぉ!』
豪快に泣き出す篠宮。
恥ずかしいから、やめてくんないかな・・・
『うるさい!回りに迷惑だから座って、
ご飯 食べて』
遊に言われ、泣きながら素直に座る篠宮。
半分に折れた短い箸で、そのままラーメンをすすり出した。
器用だな・・・
食べ終わって、落ち着いたらしい篠宮は
『あ、あの・・・////』
と、何かを言いたいらしくて、頬を染めて
モジモジしている。
『なに?キモいんだけど』
『あの名前・・・呼んでもいいかな?』
『・・・僕の?』
『同じ・・・篠宮だし・・出来れば名前を・・・』
『うーん・・・・まぁ、別にいいけど?』
すると、篠宮の顔がパアッと輝いた。
『じゃあ、子どもの頃、心の中で呼んでたのでもいいかな?』
・・・心の中?
何それ?
『・・・・・なに?』
篠宮は大きく息を吸い
『遊ちゃん!』
と、叫んだ。
周囲の温度がぐぐっと下がる。
『篠宮・・・・・・』
遊の冷気に気づいた篠宮。
あ、涙目になった・・
『は、はい・・・っ・・・・』
遊は、ビシッと篠宮を指さし
『お知り合いに降格』
と、言ってトレイを持ってカウンターへ行き、そのまま出ていってしまった。
『ゆ、ゆうちゃ・・・・あ・・・ウソ・・・・ウソォ・・・』
半べそをかいて うちひしがれる篠宮を置き去りにして俺たちも遊の後を追いかける。
篠宮・・・・せっかく「お友だち」になれたのに・・・・・余計な事を・・・アホだな。
最後に 振り返った俺が見たのは
飼い主に捨てられた犬のような・・・
背中に哀愁を漂わせた篠宮の姿だった。
*** おまけ・終わり ***
ともだちにシェアしよう!