208 / 761
遊の災難☆1
その日、
僕は いつもより かなり早い時間の電車に
ひとりで乗っていた。
というのも、
昨日 提出のレポートを 家に忘れてしまって・・授業終わりに 教授に相談したら
「明日は会合で出掛けるけど、朝早くなら
いるから持ってこい」
って言われて・・・
早めに駅まで やって来て・・・、
愕然とした。
すごい人の数。
ラッシュアワーなんて初めて・・・!
身動き出来ない程ほどじゃないけど
結構なギュウギュウ詰め・・・
お父さんは毎日 大変だ・・・。
そんなことを ぼんやり思っていると・・・
さわさわ・・・と、
お尻の辺りを撫でられてるような感触。
んん・・・・・?
気のせい・・・・・だよね?
身じろぐと、すぐに触られてる感じは なくなった。
なんだ・・・・やっぱり違った・・・
安心していると、
少し時間をおいて また・・・さわさわ。
偶然、当たってるって感じじゃなく・・・
はっきり、意図をもって触られてる気がする・・・
女の子と勘違いしてるのかな・・・?
どうしようか迷っていると、急に手の動きが大胆に。
お尻を揉まれ、もう片方の手が太ももの内側に・・・入ってきた。
『・・・・・っ!?ちょっ・・・・!』
慌てて、その手を掴もうとする。
――けど、掴む前に その手はスッと逃げていった。
でも、お尻の手は まだ 揉み続けている。
今度は、お尻の方の手を掴もうと
後ろに手を伸ばそうとすると、左右から出てきた手に、両腕を掴まれてしまった。
・・・・・え?
なにこれ・・・・
もしかして 1人じゃ・・・ない?
左右の手の主を見ようとするけど・・
人が いっぱいで 誰の手なのかまでは分からない。
すると、また太ももの内側に手が潜り込んできて・・・どんどん、上に上がってきた。
――っ!!
や、やだっ!!
やっぱり痴漢だ・・・・っ!
・・・・気持ち悪い!
気持ち悪い!
気持ち悪いっ!
でも・・・・、狭い上うえに 両腕を掴まれていては思うように抵抗できない。
なにこれ?
なんで?
なん・・・で・・・っ!
その時、次の停車駅に着くのか、電車のスピードが落ちてくるのが分かった。
逃げなきゃ・・・っ!
扉が開く。
腕を振り払おうとするけど・・・痴漢たちは
僕の周りを囲んで 押さえつけるようにしていて身動きが出来ない。
逃げられないまま 痴漢たちに押され、
開いた扉の方へ移動させられる。
まずい・・・!降ろされる?
どこかへ連れ込まれたら どうしよう・・!
必死に暴れるけど・・・
男たちは慣れているのか、驚くほどの手際の良さで 僕を電車から降ろすと
トイレに押し込んだ。
ともだちにシェアしよう!