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昏い欲望が気付かせた恋心
潤んだ金眼に見上げられて、胸が苦しくなる。
「深海 ……深海……」
薄く開いた形の良い唇から繰り返される自分の名に鼓膜がビリビリする。
「好き、だ。ルナ」
切なそうに揺れた金眼を見つめたまま唇を塞いだ。
ルナは文句を言うでもなく、抵抗もせず俺の唇と舌を受け入れてくれた。
くちゅ……くちゅ……
ルナの口の中はあり得ない程甘いと思った。
何度も角度を変えて、夢中で貪った。
「くぅん……」
鼻から抜けるルナの声が愛おしいと思った。
髪を撫で、頬を撫で、むき出しの身体を撫で回し、離した唇で慎ましやかな胸の突起を咥えた。
優しく舐めて、軽く吸えばルナは身体を反らせて俺の名前を呼んだ。
ルナも勃ってる事にそうだルナはオトコノコだ、と思い出して、すぐにだからそれが何だ? と思い直した。
「っひゃっ! あっ! 深海っ!」
「気持ち良い?」
ゆっくりと上下させてルナを高めていく。ルナから溢れ出した透明な体液が俺の手を濡らして、卑猥な音を立てるのに興奮した。
俺の手でルナが乱れる。
顔と言わず身体中を真っ赤にして、細く高い声で啼く。
「ルナ大好き」
「みぃみ……ゃんっ……みぃみ……好き」
必死に手を伸ばして、首に腕を絡めるルナに微笑んで問いかけた。
「本当? 俺の事、好き?」
「ん。好きっみぃみ好き」
「良かった……」
ちょん、と立膝の膝頭を突くと、ルナが恥ずかしそうに眉を下げて、はぅ、と吐息を零した。
そしておずおずとゆっくり開かれていく脚。
ああ、綺麗だなと心底思う。
抜けるように白い肌が赤く染まるのも、熱を孕んだ吐息も、潤んだ目も全部綺麗で、全部俺だけのものだったら良いのに。
「俺のモノになってよ。俺だけのモノになって? 俺もルナのモノにしてよ」
頷いてくれたら抱いてしまう。
拒否されても抱いてしまう。
「あ、あぁ! っんっ」
こくんと頷いたのを確認して身体を拓いた。
狭くて熱いナカは異物の侵入を拒むかのように蠢き、俺を歓迎するかのように締め上げた。
舌足らずに俺をみぃみと呼ぶルナの華奢な首に接吻 て、細い腰を抱いて押し付けるとルナの目から涙が零れた。
「んぁっ……みぃみ、きもちい……好き好き」
「ルナ、ごめん、好きなんだ。すごく好きなんだ」
何度も揺さぶられ、必死に俺にしがみつく健気なルナの姿に劣情が更に湧き上がり、唇を塞ぐ。
「っぷぁっ……ひっん、みぃみ、名前呼んで? イっちゃう、からっ名前呼んでっ!」
ルナ、ルナ愛してる。そう言うとルナは頭をブンブン振って、俺の耳元でボソッと名前を呟いた。
「綺麗な名前……」
俺の言葉にルナが嬉しそうに笑って、早く呼んで、と俺を急かした。
「あぁもうイく。一緒にイこう。愛してる――」
ハッと目を開けた。
呼吸が止まっていたのかと思う程息が荒い。
目の前には見慣れた天井。
腕の中には寝ている間にヒトのカタチに戻ったルナが相変わらず規則正しい寝息をすぅすぅ立てている。
俺は当然、服を着ている。
いつの間にかルナを抱っこしたまま床で寝入ってしまったらしい。
そして確かめなくても解る下半身の不快感。
「っサイテー……」
夢精するとか、ガキかよ!?
っていうか、ルナ相手に何て不埒な夢見てんだよ。相手は……絶対に穢しちゃいけない相手だろうが、俺のバカ。
「ごめん、ルナ」
好きなんだ。
あんな夢見ちゃったけど、本当に好きなんだ。
多分一目惚れ。
あの金眼に見つめられた瞬間から。
好きだよ。大好き。
穏やかな寝顔。その柔らかな頬に軽く唇を落として、起こさないようにそっとルナから離れて、ヒト戻ったせいで裸のルナにシャツをかけた。
今の俺には目の毒過ぎるよ……。
シャワーを浴びようとルナに背を向けた俺には、ルナがこれ以上は無理だろうってくらいに顔を真っ赤にさせて、口をムズムズさせていた事に気付く事はできなかった。
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