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第二章・10
「あ~、今日の先生も悦かったなぁ♡」
今まで付き合ってきた人間とは、明らかに違う魅力を、大翔は楓に感じていた。
容姿はもちろんS級だが、その心の優しさ、おおらかさが、心地よかった。
何をしても、受け入れてくれる懐の深さが、楓にはあった。
「楓先生は、どんな男が好きなんだろ」
ふと、そんな思いをはせることがある。
そして浮かぶのは、ボディガードの征生だ。
何となく、お似合い。
そんな気持ちが湧いてくるのを、大翔は必死で振り払っていた。
「ま、一番は俺として。二番は難波でもいいかな」
有名大卒の、インテリヤクザ。
近々着工される予定の、組の息がかかったリゾートホテル建設も彼が一枚かんでいるという。
「俺の第一志望は、三流大学だけど」
それに関しては、溜息をつくしかない大翔だ。
「でも、楓先生は目的を持って何かをやり遂げることは、素晴らしいって言ってくれたし!」
一発抜いてスッキリした後は、宿題だ。
楓と一緒に使っているテキストを、大翔は再び開いた。
「頭良くなって、先生にふさわしい男にならなきゃな」
そんな可愛らしいことを考えながら、問題に向き合った。
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