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第三章・8

「う~ん、う~ん、これは。この問題は!」  この問題は、さっき楓と共に勉強したパターンと同じ問いだ。 「もう少しで思い出す! もう少しで……!」  大翔は、頭をフル回転させていた。  a<0のとき x=pで最大値q、最小値なしだから……。 「思い出した! 解ったぞ、できる!」  大翔のペンはすらすらと二次関数のグラフを書き、答えを導き出した。 「できたぜ、楓先生~!」  ああ、ご褒美欲しい! 「でもまぁ、さっきヤッたばっかりだし。これで呼び出したりしたら、嫌われそうだし?」   『よくがんばったね、大翔くん』  そんな楓の優しい声が、聞こえてくるようだ。 「じゃあ、風呂入って寝るか!」  先生、今なにしてっかな。  俺みたいに、風呂に入ろうとしてるかな。  大人の現実は知らずに、大翔は夢見る少年そのものだった。

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