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第七章・8
ようやく解放され、聖也は苦し気に息をしながら大翔に向き合った。
「は、反省会、しよ」
「言われなくても、反省してるぜ」
楓先生。
俺の楓先生がMでないなら、聖也の言う通りこれまで我慢してたんだ。
「だって仕方がないだろ。時間無いから、キスとか何とかやる余裕ないんだよ!」
「だからって、早すぎると思うよ?」
「俺、早漏か?」
「そういう意味じゃなくって!」
とにかく、と聖也は大翔の手を取った。
「時間のゆっくり取れる時に、先生とエッチした方がいい。ていねいに、優しくしてあげて」
「うん……。悪かったな、痛い思いさせて」
気にしないでよ、と聖也は微笑んだ。
(僕の初めてが本城くんで、嬉しかったよ)
それは言葉に出さなかった。
出せない、ちょっぴり哀しい想いだった。
(本城くん、楓先生のことが好きなんだもんね)
二人の仲がうまくいくようにと祈る聖也は、心の優しい少年だった。
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