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第十章・3

「実は、大翔と難波は、いや征生は、腹違いの兄弟なんです、先生」 「え……!?」 「征生は、私が若い頃愛した女との間に生まれた子。そして、大翔は正妻の子。このことは、本人たちも知りません」 「そんな」  大翔くんと、征生さんが、兄弟。  にわかには、信じがたい事実だった。  だが、その父親は話を続けた。 「大翔には、私がおります。父である私が、この先もずっと支えて行こうと思っています。ですが、征生には」  誰もおりません。  そう、続くと思った。 「あなたがおられます、先生。どうか、征生をこれからも支えてやっていただきたい」 「ちょ、ちょっと待ってください。僕は、難波さんとは何も」 「隠しているおつもりですか? 二人の仲は、すでに掌握済みですよ、先生」 「本城さん、いつの間に……」 「征生を、よろしくお願いします」  深々と頭を下げる組長に、楓は返す言葉を持たなかった。

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