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第十一章・5

「いいでしょう! のしを付けて、差し上げます!」 「組長!?」  いや、ここからはちょっと別の話なんだが、と組長は征生に向き直った。 「今進めている、リゾートホテルのプロジェクト。お前に、早い段階から中に入ってもらってるな?」 「はい。土地の買収から関わっております」 「あのホテル、大翔にやろうと思っている。あそこで、堅気としてビジネスをやって欲しい、とな」  そして。 「そして、難波。お前に、大翔を支えて欲しいんだ」 「私が、ですか」  これは、ヤクザから足を洗うまたとない機会だ。  そうすれば、楓をこれ以上悲しませずに済む。  一瞬にして、征生はそう考えた。 「その顔つきだと、了解してくれそうだな」 「は、はい」 「お前は大翔を支え、先生がお前を支える。これで万事円く収まる。そうじゃないのか?」 (組長は、楓と俺の仲をご存じなんだ) 「……恐れ入りました」 「私が何も知らないと思っていたのか!?」  豪快に組長は笑い、征生はひたすら平伏していた。

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